神経難病外来

神経難病外来とは

神経難病外来神経難病は、体の神経や脳に発症する病気の総称で、いずれの病気にしても、発症の原因や治療法というのが現在のところ確立していない疾患のことを言います。当クリニックでは、この病気を診療する外来を設けており、主に、多発性硬化症、パーキンソン病、重症筋無力症、多系統萎縮症、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺などの診療を行っています。いずれにしても経過が長引く病気のため、肉体的にはもちろんですが、精神面や経済面という意味においても負担が大きい病気と言えます。

ただ、神経難病は原因が判明していないと言っても、その疾患メカニズムはある程度まで判明しているものや、根本的に直すことは困難でも、日常生活に支障をきたさない程度まで回復する治療が行えることもあります。また、現在のところ直接的な治療法がないとされる病であっても医療がかかわることで少しでも生活しやすくすることは可能です。

主な神経難病

パーキンソン病

パーキンソン病 パーキンソン病は、脳の神経に異常が生じることで、脳からの命令が全身にうまく伝わらなくなり、身体が動かしづらくなる病気です。患者様の多くは40歳代から症状が現れ始め、50~60歳代で発症します。ただ、若い方や70歳代の方でも見られることはあります。

主な症状としては、何もしていないのに手足がふるえる、歩行の際は前傾姿勢になって、歩幅が狭く、手の振りが無くなります。そのほか関節の曲げ伸ばしに支障が生じる固縮が現れたり、顔の表情も硬くなっていきます。声は小さくなり,言葉が少なくなります。気持ちもややふさぎ込みやすくなります。

効果的な薬がパーキンソン病には多く存在しますが、その「使い分け」には専門的な知識が必須です。この病気のような症状に心当たりがあるという方は、お気軽に当クリニックにてご相談ください。しっかり診断したのちに適切な治療・検査を検討させていただきます。必要に応じ、埼玉医大などの病院と連携して診療に当たります。

多発性硬化症

多発性硬化症は、神経線維の軸索の周りを囲んでいる髄鞘が破壊される脱髄疾患のひとつで、その中でも原因がはっきりしない場合を言います。これについては様々な症状が現れるようになり、具体的には、視覚障害、眼球が動かしにくい、全身の動きがぎこちない、筋力の衰え、排泄障害、言葉が発しにくいといったことがみられます。なおこれらの症状は、定期的に現れたり消えたりといった状態を繰り返し、自己免疫疾患の一種とも言われています。

治療については対症療法が中心で、症状が出た際は、炎症を抑える治療としてステロイドを中心に使用します。症状が安定している際は、再発予防としてインターフェロンやフィンゴリモドやフマル酸ジメチルなどの免疫調節薬を中心に用いて、再発をしにくい状態にします。そのほか、運動機能を改善させる手段としてリハビリテーションも併せて行うようにします。

当院では上記薬剤(注射薬,内服薬)の処方が可能となっております。
必要に応じ、埼玉医大などの病院など大学病院と適切な連携が可能です。

重症筋無力症

重症筋無力症は、体の免疫システムの異常により自らの細胞を攻撃してしまうことが原因で、神経から筋肉への命令が上手く伝わらなくなり、全身の様々な場所の筋力が低下するという自己免疫疾患のひとつです。まだはっきりと解明されてはいませんが、胸腺の異常が原因の一つになっている場合が多いと考えられています。発症すると、少しの動作で疲労感が強くなり、筋肉が動かなくなります。少しでも休めば、動作を続けられるようになりますが、またすぐに疲れていきます。

初期症状は、朝は症状が軽く、夕方以降に症状が重くなっていきます。現れる症状としては、まぶたが開きにくい、ものが二重に見える、食べ物が飲み込みにくくなる、話しづらくなるといったことがあり、次第に肩が上がりにくい、立ち上がりにくいなど全身の筋力低下がみられるようになります。このような症状があるからは一度受診をおすすめいたします。

主に症状を軽くすることを目的に薬物療法が行われ、ステロイド薬や免疫抑制薬、抗コリンエステラーゼ薬を使用します。また、検査で胸腺の異常がみられた場合は、胸腺と胸腺周囲の脂肪を広範囲に切除する手術を検討することで症状の根本的な軽減が得られます。

当院では、専門医が診断をはじめ適切な治療の提供をしております。この病気は、病状によっても治療選択の幅があり、合併症や薬剤の副作用の注意が必要です。そのようなことを踏まえ、総合的に診療をさせていただきます。手術などが必要な場合には埼玉医大と連携しているので、スムーズな紹介も可能です。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)

ALS(筋萎縮性側索硬化症)ALSは原因不明に,全身の運動神経が萎縮していき、手足の麻痺やろれつ障害、嚥下障害が徐々に進行していく病気です。進行し、呼吸障害が起き人工呼吸器が必要となります。

現状根本治療が開発されていない疾患であり、身体障害や介護保険などを使い生活のサポート体制を整えることが必要となります。

効果は限定的ですが、厚生労働省にて内服薬であるリルゾールと点滴薬であるエダラボンが認可されており、病気の進行を遅らせる作用が認められております。当院では両者の治療を行っております。診断などは専門的な大学病院で行う為、埼玉医大と連携をしております。

多系統萎縮症

多系統萎縮症は非遺伝性の脊髄小脳変性症に対する総称であり、オリーブ橋小脳萎縮症・線条体黒質変性症・シャイ・ドレーガー症候群に分けられます。オリーブ橋小脳萎縮症では起立歩行時のふらつきなどが、線条体黒質変性症では動作が遅くなる・手足がこわばる・転びやすいなどが、シャイ・ドレーガー症候群では立ちくらみ・失神・尿失禁などの症状が現れます。神経の障害が異なった場所で起こる・異なった順序で進行することにより現れる症状が変わりますが、進行につれて各症状が重複して現れます。

排尿・消化管・体温調節・呼吸・性機能・睡眠などに症状が現れることもあり、本人や周囲が気付かないまま症状を起こしていることもあります。原因不明であることから根治的治療法はありませんが、薬物療法や生活指導、リハビリテーションにより機能などの維持・改善を行い、筋萎縮や関節拘縮などを予防する治療が可能です。

ギランバレー症候群

ギランバレー症候群脳や脊髄から全身にくまなくめぐっている末梢神経に障害が起こり、手足の麻痺などを発症して数日で手足が動かなくなっていく疾患です。ウイルスや細菌の感染から起こることが多いとされていて、発症前に喉の炎症や胃腸炎の症状があるというケースがよくあります。ギランバレー症候群は、なんらかの原因で本来は外敵に向かうはずの免疫が自己の末梢神経を攻撃して起こります。そのため、免疫グロブリン大量静注療法で正常な抗体を大量に点滴する、血漿浄化療法で神経を障害している抗体を取り除くなど、免疫を正常に戻す治療が行われます。

神経は、情報を送り出す神経細胞の軸索(じくさく)突起を髄鞘(ずいしょう)が取り巻いています。この髄鞘は回復が速い性質を持っていますが、神経軸索突起は回復がとても遅いため、ダメージがどこまで及んでいるかによって回復のスピードが大きく変わります。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎

末梢神経の炎症によって筋力の低下や感覚の障害を起こす疾患です。症状が治まる寛解期と症状を起こす活動期を繰り返すケースと、少しずつ症状が進行していくケースがあります。なんらかの理由で免役が自己の神経を攻撃して起こっているとされていますが、原因はまだわかっていません。主な症状には、手足に力を入れにくくなるというものがあり、そのため洋服のボタンをかける・箸を使うなどが困難になることがあります。また、転びやすくなる、手足の感覚が鈍化する、ふらつくなどを起こすこともあります。まれに脳神経障害を起こして、話しにくい、表情が乏しいなどを生じることもあります。治療では副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリン療法、血液浄化療法などを用います。状態により歩行をサポートする装具なども必要になります。また、リハビリテーションも重要です。長い治療期間が必要な病気です。

大脳皮質基底核変性症

大脳皮質基底核変性症は、動作が遅くなる・手足がこわばる・転びやすいといったパーキンソン症状と、手を動かしにくい・動作がぎこちないといった大脳皮質症状が両方現れる病気です。言葉が出にくい、片方の空間を見落とす、認知症などの症状を起こすこともあります。多くの場合、身体の右か左のどちらかに症状が強く現れます。典型的な症状が乏しいため、専門医の診断が不可欠です。40歳以降に発症し、ピークは60歳代です。前頭葉と頭頂葉に強い萎縮がみられ、顕微鏡的に調べた場合は神経細胞の脱落、神経細胞やグリア細胞内の異常構造などが認められます。

この病気自体を治す薬はなく、パーキンソン症状がある場合にはパーキンソン病治療薬を、手足が細かく痙攣する場合にはクロナゼパムを用いた治療を行います。力を衰えさせないためにもリハビリテーションは重要です。また嚥下に関しても状態に合わせたきめ細かいケアを行う必要があります。

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